2000年に、ノラ・ジョーンズの『Come Away with Me』がブレイクしてからっていうもの、“ノラ・ジョーンズっぽい”ってのが、何やらひとつのジャンルとして確立している趣があります。
確かに、それだけのインパクトはあったし、カントリーとジャズの中間をいくことで、何よりも「JAZZ=堅苦しい」って印象を拭い去るような気楽さ(ポップさ?)があったような気がします。
今日の彼女、ジョアンナ・ウォンもそんなフォロワーのひとりでしょう。ただし、他のフォロワーたちと違うのは、彼女が中華圏出身ということ。アルバム全体が東洋的な湿っぽさと、アメリカンなドライさの同居といった雰囲気でとても心地よいのです。
で、この曲は、アルバム2曲目のナンバー。
リムショットの小粋なテンポがおしゃれで、そこに流れるオルガンの音に彼女の声とアコースティックギターでちょっとだけ飾り付けをしてある曲。
本当にシンプルなアレンジだけれど、これが彼女のちょっとスモーキーな声とはとてもよく合っています。
ボーカル面では、サビではコーラスを入れて厚みを出し、最後の細微の前、メロが変わる部分ではダブルトラックでドライさをかもし出すっていうアレンジも。
本来、正統派のジャズではなかなか聴かれないダブルトラックの手法に彼女(それともプロデュースした親父さん?)の感性の高さ感じてしまいます。
ノラ好きの中には、ボーカルメインって方もいるとは思いますが、彼女の場合、バンドサウンドの中のボーカリストって考えたほうがよいかも。
私は好きです、とってもね。
≪From アルバム『Start From Here』≫