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Younger Face / Dan Baird

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「グランジを通過した後のスワンプロック」
そういえば、この音楽を表現しやすいかな。

一見、70年代のSSWかスワンプロックかってようなこのジャケット(私も最初見たときは沿う思ってしまいました)ですが、れっきとした90年代後半のアルバムです。

この曲はそんなアルバムのオープニングナンバーですが、これが実に汗臭く、泥臭い。雰囲気は70年代のスワンプロックそのものなんです。この人のドライブがかって、ドライな歌い方もそんな風だしね。

でも、例えばギターの歪み方や、ドラムのリバーブ感なんてのはグランジ以降の影響も伺えるわけです。この辺りが、この曲のすごいところで、ただの懐古主義で終わっていないんです。

ベアードさんがスワンプな音楽がすきなのは過去のサテライツ時代からわかるし、普通は憧れの音を再現したくなってしまうところなんだけれど、その憧れをモダンな感覚で再現してしまうとは・・・なかなかできませんよね。

という具合に、はまってしまったこの曲が、最近の私の朝のオープニングになっていることは言うまでもありません。

≪From アルバム『Buffalo Nickel』≫

Taxman / George Harrison

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先週からビートルズのリマスター盤の話が盛り上がってますね。

ビートルズ関連のリマスターといえば、私にとって思い入れが強いのがコレ。実は、ずっと気にはなっていたけれど、2004年にリマスターされるまで買うことをためらってました。

理由は簡単で、旧盤の音の薄っぺらさとキレの悪さに耐えられなかったのです。
せっかくジョージとクラプトン、そして当時のクラプトンバンドが演奏しているのに、聴こえてくる音があんな薄っぺらくてもっちりなはずはないでしょう、ってずっと思ってました。

っで、リマスター盤を試聴したとき、前半に収録されているこの曲を聴いて即買いとなってしまったわけです。

なんといっても、ライブならではのパワフルなリズム隊とジョージを入れて3本のギターが音の厚みを確実なものにしています。

線の細いジョージのギターと、堅実なアンディフェアウェザー・ロウのバッキング、そして間奏ではクラプトンの見事のソロと。豪華な面子での演奏にため息です。

特にクラプトンのソロは、ビートルズのオリジナルバージョンとは似て非なるもので、彼独特のエッジの鋭さと得意のブルージーなフレーズが全開です。

ちなみにこの曲、イントロの前に例のカウントが入っているんですね。プチ・ビートルマニアには、そんなところもちょっと嬉しいのでした。

≪From アルバム『Live in Japan』≫

Rest of the Dream / John Hiatt

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名前は知っていたけれど・・・っていうミュージシャンって意外と多いものです。

そして、そのミュージシャンの音源を実際に聞いたときには、ハッピーな気分かどんより気分のどちらかに落ち着くことが多いものです。

私にとって、このハイアット氏の音源は「ハッピー」に感じる部類でした。まさに今、私の中で求めている音って感じで。

この曲に感じられるような泥臭さと汗臭さ、これって私が元来好きなものなんです。でも、この辺りのテイストを求めてしまうと、どうしても70年代初頭のスワンプロックに落ち着くことが多いのですが、この人はそれを現代のフィールドの中で活かしているようです。

例えば、音のレンジだって90年代以降の音源だけあって広いし、ギターなんかもアレンジがきっちり練られてラフなプレーはほとんどない。

でも、泥臭いメロと歌いまわし、ギターのフレージング、ハモリなんかはとてもスワンピーなんです。こんな辺りが私のツボにはまりました。

暑い季節、こんな汗が滴るような音楽を聴きながら、自身のギターに汗をしみこませるのもオツなものです。

≪From アルバム『Stolen Moments』≫

Big time sensuality / Bjork

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90年代を代表するこのビョークのソロデビューアルバム。このアルバムが出た1993年といえば、私はまだ田舎の中坊。
レコードショップやFMで彼女の名前は耳にしていたものの、まだ洋楽を聴き始めたばかりの小僧には、その高い音楽性が理解しがたいものでした。

そして、時が過ぎてこのアルバムを手にしたのは、それから10年たった頃。普通、こういったテクノロジー的な音楽って古びるのが早いのだけれど、彼女の音楽は別格かな。

その中でもこの曲が好きなんです。
打ち込みのビートにシンセで装飾を施している感じの曲ですが、それにしてもこのメロディーの美しさはなんなんでしょう。思わずうっとりしてしまいます。

そういったメロディーのよさが直接伝わってくるのも、このバックの打ち込みビートがあってこそだと思うのです。

無機質な中に、シャウト(?)を繰り返す部分など、とても生々しいビョークの声が妙に新鮮に、輝いて聴こえてしまうのです。

多分、これを生バンドの演奏でレコーディングしていてもここまでの生々しさは伝わらないはず。

あえて、機械で作り出したビートの中に身を置いたからこそあふれ出た生々しさなんじゃないでしょうか?

こうしたデジタルビートに綺麗なメロディーを乗せた曲って、実はとても難しいと思うのだけれど、最近、また妙に気にかかってしまうなぁ。自分でもいつか挑戦はしてみたいけれど・・・。

≪From アルバム『Debut』≫

God's Worst Nightmare / Wayne Kramer

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実は今日は懐かしい1枚を取出して聴いてしまいました。
このアルバム、なかなかどうして私の中では思い出深いものでして、人生で始めて当たったジャケ買いのアルバムなのです。

その頃はなんの予備知識もなく買っていたのですが、後にMC5のギタリストのソロアルバムというとがわかりびっくりしたのを覚えています。

っで、この曲ですが、開放的でアメリカンなギターが冴え渡る名曲です。

なんたってこの曲、アメリカ人特有のブギのリズムがたまらないのです。ギターも他の曲に比べたらかなり押さえ気味でメインリフのギターとそれに絡むギターの2本のみ。相当音の隙間を意識して作られているあたりがミソ。この辺が私が気に入っている理由なのかも知れません。

あと、意外とは私はこのドラムの音、特にバスドラムの抜けるような音が気に入っています。使い方を間違えると間抜けになってしまうけれど、こういったリラックスした雰囲気の曲にはもってこいだなぁっと感じました。

複雑なメロディーがあるわけではなく、技巧的な見所があるわけではないけれど、リズムと雰囲気で人を引き込む曲・・・久しぶりに聴いて改めてそんなことを思った次第です。

≪From アルバム『Dangerous Madness』≫

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