実は、クラプトンが好きと言い放っていた私ですが、このアルバムは最近まで聴いたことがなかったんです。
理由は、もともとの「イン・コンサート」ってアルバムをアナログで所有していて、その録音状態にうんざりしていたから。日本版であることも災いして、かなりモコモコな音で、とても4ピースの緊張感を感じるまでにいたりませんでした。
ところが、先日、たまたま中古で発見したこのアルバムを聴いてみてどうでしょう、ライブの臨場感が生々しく伝わってくるではありませんか。
特にこの曲ではイントロのワウの音色からして生々しい。ギターの音色も心地よく、リズム隊の音も輪郭がくっきりしているので非常にリアル。
ボーカルを取りながらソロでは泣きのリードギターを弾きこなすクラプトンを目の前にして聴いているようで、技量や充実感も伝わってくるかのようです。
オールマンのライブも90年代に出たリミックス版の方が好きだったけど、ドミノスの場合もそれとまったく同じ印象でした。なんだかこの2つのアルバム、いろいろな意味で似てるなぁっと感じるのは私だけでしょうか?
恋は悲しきもの / Derek & the Dominos
Save Me Jesus / Bobby Charles
別にいつも聞きたいわけじゃないけれど、時折聴きたくなるのがこのボビー・チャールズのファーストアルバム。
所謂、ウッドストック派といわれているシンガー・ソングライターです。
別にそんなことはどうでもいいのだけど、このアルバムは適度な緩さと程よい緊張感が絶妙なんです。とくにこの曲辺りはね。
例えば、ボーカルは他のシンガーソングライターと同じように素朴で、温かみがあって、近年で言われるところの"ボーカリスト"って存在からはかけ離れた緩さ。それだけに、聴いていても疲れないし、飽きないんだなぁ。
あと、ハイハットとシンクロするアコースティック・ギターのストロークもそう。絶妙なズレが音の揺らぎをかもし出しているし、厚みを作っています。
そして、緊張感をもたらすのは重心の低いリズム隊。
適度にスキマを作り出すドラムもさることながら、的確にそのスキマを埋めていくベースの職人芸には脱帽です。
それもそのはず、プロデュースは、本人とザ・バンドのメンバーでした。
こういったクロスオーバーが多いからSSWは奥深いんだよね。
Hurricane / BOB DYLAN
最近、なぜか無性にディランが聴きたくて・・・。
それも、スタジオでの“おとなしい”ディランではなく、ライブでの荒々しいディランの声がね。
そんな折、こんなアルバムが出ていたことを知りました。
今さらながら、「スゴイもんが出ていたもんだ」ってあわてて購入した次第です。
年代的には『血の轍』から『欲望』の間くらいの、ちょうどわたしが大好きな時代のライブ。同じ時代のライブの『激しい雨』にはあまり萌えなかってのですが、このアルバムはもろにツボでした。
そして、個人的にはこの曲が聴けたことでかなり満足です。
もともとスタジオ盤でも攻撃的なディラン節炸裂なんですが、このライブではそこにライブならではのスリルが加わって、より激しいものになっています。
ディランのだみ声早口言葉と、どこか別世界に連れて行かれそうなバイオリン、そして重心の低いバックバンドの演奏とどれをとっても最高のライブの醍醐味が詰まっているのです。
私の世代だとディランは完全に後追いで、60年代のディランしか知らないという輩も少なくないのですが、私にとってはどの時代もそれぞれ違う切り口で楽しませてくれるディランが最高なのです。
Medley: I'm So Proud/Ooh Baby Baby/La La Means I Love You / Todd Rundgren
実は、とっても安かったんでついつい買ってしまったんです。
彼のライブ盤は『Back to Bars』をアナログで持っているんだけれど、それはそれ、これはこれといった感じで違うよさを感じるライブ盤でした。
っで、このアルバムの最後をしめる恒例(?)のソウルミュージック・レビューが今日の曲です。
彼のソウルミュージックに対するオタクぶりは、オリジナル曲の様々な箇所にちりばめられているけれど、フリーソウルなんかもお好きみたいで、このメドレーの最後、「La La Means I Love You」はフリーソウルの初期を彩ったナンバーなんです。
オリジナルのデルフォニックスの方は、スイートソウルナンバーなんですが、この人がやってしまうとロックバラードぽくなってしまうから不思議。
小気味宵テンポのピアノが引っ張り、途中で少し危なっかしいボーカルがあったり、コール&レスポンスがあったりと、かなり私のツボ。
しかし、ライブとなると本当に好きなことをやっているんだろうなって雰囲気が伝わってきます。あんなに練り上げてつくっているスタジオ盤とのそのギャップがまた彼の魅力なんだなぁ。
Sing A Mean Tune Kid / Chicago
このアルバムが発売されたのが71年。
このころっていうと、アメリカではシンガー・ソングライターの登場とあいまってニュー・ソウルの定着があったはず。
このバンドもロックというフォーマットの中で、その影響を受けていたんだなぁ、と感じるのがこの曲。
何がって、やっぱり独特の“揺れ”を感じるんです。
それは、ルーツ・ファンクの揺れとはちょっと違って、もう少し、ゆっくりと、ふり幅が大きいもの。
ファンキーなリズム隊とワウ・ギターは言うに及ばず、エレピが刻むフレーズのアクセントやホーン隊が作り出すリフレインなど、すべてが単独では成立しないけれど、アンサンブルとして大きな揺れを作り出している感じ。これって、とっても心地よいんだよね。
ちなみに、ギタリストとしては、中盤でこのリズムに乗りながらも、ブルージーかつハードロッキンなフレーズを弾きまくるギターも好きですわ。こういった乗りに、こんなギターをわりと強引に絡ませていくなんて、素人にはなかなかできません。
しばらく私の研究材料にもなりそうです・・・。
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