私は、カルフォルニアはおろかアメリカにさえ行ったことがないのですが、「彼の地の乾いた空気ってこんな感じなのかなぁ」ってたまに感じることがあるのです。
このアルバムもそんな気持ちを抱かせてくれる1枚。
この曲は、LPでは、A面最後の曲。
静かに始まる曲だけれど、ミドルテンポで徐々に盛り上がっていく展開が素敵な曲です。
まずは、なんとも乾いたアコースティックギターの音色がとても耳についてしまう。これは70年代のウエストコースト関連の音源全体にいえるかもしれないけれど、アコギの音色がそのままハイハットのような役割を担っているんだよね。
そして、重たいリズム隊。これがとってもグルービーで、安定していて、その上を泳ぐスライドギターもとっても心地よくなっちゃいます。
もちろん彼の歌も結構ツボです。
決して声の太いほうではないけれど、当時のSSWと同様、優しい声で語りかけてくるよう。サビではダブルトラックとハモリでさらにドライな印象を与えてくれます。
日本ではまだまだ湿っぽい季節だけれど、きっと彼の地ではカラッと乾いた夏なんだろうなぁっと、今日も思いをめぐらせたわけです。
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哀しみのミュージシャン / Albert Hammond
Let's Get Lifted / John Legend
初めて彼の音楽を聴いたときの感想は、「なんて引き出しの多い人なんだろう」っと。とにかく、それ以前のソウル・ミュージックを凝縮したような豊かな音楽性に感動しました。
そして、今日はそのきっかけとなったファーストアルバムから。
この曲は、アルバムの2曲目(だけど、実質1曲目かな)なんですがなんともニュー・ソウルなムードが素敵なのです。
印象的なギターリフ、とそれを元に展開してくメロディー、さらにそのボーカルに呼応するようなピアノ。それらのそれぞれが音数少なく、独特な雰囲気を持っていて楽曲を構成しています。
曲の展開の仕方だけならばスティービー・ワンダーを彷彿させ、アレンジではダニー・ハサウェイあたりを参考にしているようですが、これがかなり完璧に近い形ではまっています。
ただ、ひとつ違うのは、彼の音楽が懐古主義ではなく、最近のテクノロジーも積極的に活用しているところ。この曲も恐らくドラムはプログラミングされたもの。だけど、それを微塵も感じさせないほど全体の雰囲気は生々しいのです。逆に、そういったリズムの音をいれることでヒップな感覚を取り入れることに成功しているような感じさえ受けます。
彼の曲には「○○っぽい」なんていう例えがよく使われるみたいだけれど、彼は多くの音楽的なルーツを持っていて、それを場面ごとに上手く引き出しているんじゃないかなぁ。
とにかく、往年のソウルミュージックのファンには一度聴いてみてもらいたいです。この感覚、きっとハマるとなかなか抜け出せませんよ!!
What a Shame / FOGHAT
ロックには音楽的な聴かせる要素とエンタテイメント的な楽しませる要素が同居していると思うのだけれど、このバンドの音楽は間違えなくその後者の方を突き詰めた感じ。
なぜか、リアルタイム世代以外にはあまり支持されていない様で、私メもつい最近中古CDで手に入れてから目覚めてしまいました。
そして、今日はこの曲です。
彼らの音楽は、一般には『ハード・ブギ』って言われていて、ルーズな部分もありながら部分的にはハイテクニックで、且つ重厚な音づくりで迫力もある。そう、典型的な70年代アメリカンロック的なんですが、実はイギリス人だそうです。きっと、パブロックなんかと呼応する動きだったんだと思います(あくまで私の推測ですが)。
この曲にも、乾いたギターのリフ、ドラムより大きいパーカッションの音、ベースとシンクロするリズムギターなど、そんなルーズなロックンロールの魅力がたっぷ詰まっています。
でも、一番の利き所はギターソロかなぁ。
特に難しいフレーズでもないけれど、2本のギターで交互にソロを取るとそれぞれの個性がくっきりわかってとても面白い!!
ロックがもともと備えている大衆音楽としての魅力。
フォガットって、そんな魅力を私に改めて示してくれるバンドでした(笑)。
Sidelines / Elvin Bishop
ジャケットからして、B級な香りぷんぷんです・・・。
私がこの人を知ったのはつい最近。
スワンプロックにはまっていた時に、その人脈を根こそぎ発掘していたときでした。
日本では、ほとんど無名に近いのにさすがはCapricornレーベルのミュージシャン。サザンロックやスワンプロックから影響を受けたプレイを聞かせてくれます。
っで、このアルバムの2曲目のこの曲、意外とかっこいいのです。
シンプルなアメリカンロックナ形式なんだけれど、まずは小粋なリズムが最高なんです。ギターのカッティングと休符を上手く交えたベースライン。なんともおいしい。
そして、サビの部分では、このリズムも一変して、シンコペーションを駆使して、やや重いものとなるのです。これがまたいい!!
決して、歌もギターも上手くはないし、目立つ方ではないのだけれど、南部の音楽の汗臭さをうまくポップスに昇華してしまった感じ。
ギタリストとしても、出すぎず、いい味を出していてとても好感が持てるんです。
Smooth (Featuring Rob Thomas) / Santana
「日本の蒸し暑い夏にサンタナはなんでこんなにマッチするんだろう。」って、毎年この時期になるとふと思うことがあります。
このアルバムが世に出た頃はちょうど私がハタチぐらいの時。
つまり、私なんかはこのアルバムを聴いて、全盛期のサンタナを後追いした世代なんです。でも、後追いでもその衝撃はすごかった!!
だから、リアルタイムのことはよくわからないけれど、多分、全盛期のこの人が日本でヒットしていなかったら、日本の歌謡曲、ロックは何かしら違うものになっていたんじゃないかなぁって思ったりもします。
っで、今日はこのちょっとアダルトなアルバムから、いかにもサンタナらしい子の曲を。
まずはなんといってもこのラテンのリズムでしょう。
パーカッションもばっちり効いていてとてもカッコイイ!!
サンタナの甘いトーンのギターも冴えまくっています。ボーカルの裏メロと間奏の時のギターの使い分けがまたすごい。
イントロのギターだけでもやられてしまいますが、それに加え、裏メロでは、あくまでもボーカルのメロを侵さないように、間奏に入ると彼の得意のハイポジションでの滑らかなギターが、ここぞとばかりに聴こえてきます。
そう、この雰囲気は全盛期のサンタナそのものなんです。
違うのは、当時よりも全体的にどっしりしていることぐらいでしょうか。
このアルバム、サンタナ自身が不振から抜け出すきっかけとなったのと同時に当時のグラミー賞でも多数の賞を受賞して、私のような小僧にもその存在感を示してくれたのです。まだ未聴の方はぜひどうぞ。