これは、もうユレユレのニュー・ソウル。
こういうの私は大好物です。クールな感じが溜まりません。
頭のワウワウギターとキーボードの音、そしてボーカルが絡む辺りからすでにゾクゾクしてしまいますが、このグルーブが徐々にヒートアップしていくんです。
ドラムと一体化したようなベースと絶妙なタイム感を与えるワウギター、リフを刻むキーボード・・・そのいずれもがこの時期に流行ったニュー・ソウルな雰囲気で、ウィザーズの少々熱すぎるかなってボーカルもその上に乗っていると、とても心地よく聴こえます。
そして、この曲中盤の同じリフが永延と繰り返される場面を聞いて、とてもヒップホップに近い感覚を味わいました。サンプラーなんてないこの時代、こうやって、ライブの生演奏で今のヒップホップと同じ感覚を醸し出していたなんて・・・。やっぱりブラック・ミュージックは奥深く、ネタがつきません。
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World Keeps Going Around / Bill Withers
Save Me Jesus / Bobby Charles
別にいつも聞きたいわけじゃないけれど、時折聴きたくなるのがこのボビー・チャールズのファーストアルバム。
所謂、ウッドストック派といわれているシンガー・ソングライターです。
別にそんなことはどうでもいいのだけど、このアルバムは適度な緩さと程よい緊張感が絶妙なんです。とくにこの曲辺りはね。
例えば、ボーカルは他のシンガーソングライターと同じように素朴で、温かみがあって、近年で言われるところの"ボーカリスト"って存在からはかけ離れた緩さ。それだけに、聴いていても疲れないし、飽きないんだなぁ。
あと、ハイハットとシンクロするアコースティック・ギターのストロークもそう。絶妙なズレが音の揺らぎをかもし出しているし、厚みを作っています。
そして、緊張感をもたらすのは重心の低いリズム隊。
適度にスキマを作り出すドラムもさることながら、的確にそのスキマを埋めていくベースの職人芸には脱帽です。
それもそのはず、プロデュースは、本人とザ・バンドのメンバーでした。
こういったクロスオーバーが多いからSSWは奥深いんだよね。
Roadhouse Blues / The Doors
世間的には、決して評価の高いアルバムではないけれど、私の大好きなアルバムなのがコレ。
ドアーズのアルバムの中でもどちらかというと異端扱いなことが多いし、初期のドアーズのイメージから見ればかなり遠い位置の音楽なんだけれど、なんたって、トップを飾るこの曲でノックアウトですわ。
イントロのギターの音からして、明らかなブルースロック。
ブルースハープの入れ方だって、伝統的なブルーススタイルだしね。
でもこれが新鮮でカッコイイ!!
シンプルなリズムの組み立てと、ギターリフの作り方は後のハードロックにも通じるもので、当時としてはかなり先鋭的だったはず。
でも、面白いのは、アメリカンハードロックとブリティッシュハードロックの中間的な音楽だってこと。アメリカンハードのラフでホンキートンクな感覚とリフなんかを固めて進行するブリティッシュハードのいいとこ取りっていう感覚なんだよね。
この曲に代表されるようにアルバム全体にブルースロック的なアプローチをしてもブルースロックとは異次元の音楽を作れてしまった彼ら。
モリソンがもう少し長く生きていたら、この曲のような音楽をさらに高次元に昇化させた音楽が聴けたのかもって思うと。。。でも、このレベルも十分すごいんですけれどね。
Blues Medley: Sweet Little Angel/Jelly Jelly / Mike Bloomfield
最近、ジャンルを問わず“ライブ盤”にはまっていまして・・・。
やっぱりライブ盤ってのは、そのミュージシャンの素の姿というか、スタジオ盤とは異なる側面が見えるわけで、大きな魅力なんですね。
そんな、マイブームの中で出会ったのがこのアルバム。
これまで、ブルームフィールドといえば、ポール・バタフィールドやアル・クーパー関係の音源しか聴いたことなかったのですが、このアルバムを聴いて、彼の本当の魅力が始めてわかった気がします。
なんたって、1曲目からこの渋いブルースメドレーです。
テクニカルな面もさることながら、泣きのギター満載で、ドキドキするようなフレーズの雨霰状態です。
レスポールの太く、甘い音色でブルースといえば、ブルースブレーカー時代のクラプトンを思い出しますが、ブルームフィールドのプレイの方が抑揚が効いて、ホンモノのブルース・フィーリングに近い気がします。
時間がたっぷりあれば、このCDで飽きるまでギターを弾きこみたいこのごろです。
Hurricane / BOB DYLAN
最近、なぜか無性にディランが聴きたくて・・・。
それも、スタジオでの“おとなしい”ディランではなく、ライブでの荒々しいディランの声がね。
そんな折、こんなアルバムが出ていたことを知りました。
今さらながら、「スゴイもんが出ていたもんだ」ってあわてて購入した次第です。
年代的には『血の轍』から『欲望』の間くらいの、ちょうどわたしが大好きな時代のライブ。同じ時代のライブの『激しい雨』にはあまり萌えなかってのですが、このアルバムはもろにツボでした。
そして、個人的にはこの曲が聴けたことでかなり満足です。
もともとスタジオ盤でも攻撃的なディラン節炸裂なんですが、このライブではそこにライブならではのスリルが加わって、より激しいものになっています。
ディランのだみ声早口言葉と、どこか別世界に連れて行かれそうなバイオリン、そして重心の低いバックバンドの演奏とどれをとっても最高のライブの醍醐味が詰まっているのです。
私の世代だとディランは完全に後追いで、60年代のディランしか知らないという輩も少なくないのですが、私にとってはどの時代もそれぞれ違う切り口で楽しませてくれるディランが最高なのです。