このジャケットの“いかにも”って雰囲気、わかってもらえるかなぁ。私がソウルミュージックのレコードジャケに求めるのはこの雰囲気なんです。
いわば、ちょっぴり胡散臭い感じ。
特に70年代のフリーソウル前後では、こんなジャケットこそが私の好みに沿う音を奏でてくれることが多い。
このグループもまさにそんなジャケ買いでした。
そして。結果は◎。
サウンドはまさにフィラデルフィア・ソウル。甘いメロディラインはスタイリスティックスやデルフォニックスとつながりを感じます。
でも、このグループはこの曲でも明白なように、そこにファンキーさを加味しているのです。ドラムスのファンキーなリズムにオルガンが応える。そんな構図で無理やり強要しないファンキー・ミュージックへと取り込まれていきます。
今だったら、ジャズロックやファンキージャズってジャンルになってしまうのかもしれないけれど、こういうファンクもあっていいんじゃないのって、感じずにはいられない1曲ですわ。
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Love I Lost / Harold Melvin & the Blue Notes
Taxman / George Harrison
先週からビートルズのリマスター盤の話が盛り上がってますね。
ビートルズ関連のリマスターといえば、私にとって思い入れが強いのがコレ。実は、ずっと気にはなっていたけれど、2004年にリマスターされるまで買うことをためらってました。
理由は簡単で、旧盤の音の薄っぺらさとキレの悪さに耐えられなかったのです。
せっかくジョージとクラプトン、そして当時のクラプトンバンドが演奏しているのに、聴こえてくる音があんな薄っぺらくてもっちりなはずはないでしょう、ってずっと思ってました。
っで、リマスター盤を試聴したとき、前半に収録されているこの曲を聴いて即買いとなってしまったわけです。
なんといっても、ライブならではのパワフルなリズム隊とジョージを入れて3本のギターが音の厚みを確実なものにしています。
線の細いジョージのギターと、堅実なアンディフェアウェザー・ロウのバッキング、そして間奏ではクラプトンの見事のソロと。豪華な面子での演奏にため息です。
特にクラプトンのソロは、ビートルズのオリジナルバージョンとは似て非なるもので、彼独特のエッジの鋭さと得意のブルージーなフレーズが全開です。
ちなみにこの曲、イントロの前に例のカウントが入っているんですね。プチ・ビートルマニアには、そんなところもちょっと嬉しいのでした。
Strange Brew / Buddy Guy
この歌、そうかの最強トリオのクリームのカバーです。
本来、ブルースロックっていうよりはサイケデリックな印象の強いこの曲をバディがどのようにカバーするのかってのがとても興味ありました。
そして、聴いたみた印象はというと・・・見事です。
リズムの取り方は、アメリカンなブルーススタイル。ギターのカッティングとオルガン、ハイハットを絡ませていくような感じ。このリズムギターのキレが見事で、多分ストラトだと思うけれど、細い音で的確なコードワークなんです。
対するバディのギターはというと、時折太い音を絡ませながら、自身のしわがれたボーカルと掛け合いのフレーズをつむいでいきます。
なんだか67年当時に少年少女を興奮させたサイケナンバーが、とてもどっしりと落ち着いた感じで大人のロックに仕立て上げられています。
そうそう、このカバーでもサイケの雰囲気を残している部分がありました。メインのメロディ部分のバディのボーカルはフェイザーが軽くかかっているみたい。私としては、骨太のブルースロックでやってほしかったなぁ。
Shine / Laura izibor
これはスゴイ!!
すべてのクラシックソウルファンに自信をもってオススメできます。って、いうより聴いてほしい。
この曲がFMなんかで流れているのでご存知の方も多いはずです。
私自身も某ローカルTVでこの曲のPVが頻繁に流れていたことが購入のきっかけでした。
そして、購入後、じっくり聴いてみて仰天!!
これがデビューアルバムかってほどに深く、そしてツボを抑えたアルバムです。
なかでもこの曲のできはやはり秀逸。
独特の“揺れる”グルーブ感はニューソウル的だし、コーラスのつけ方はモータウンにも通じるもの。っで、彼女のボーカルはリラックスして歌うアレサの様でもあるのです。
そう、ここに聴けるのはソウルミュージック黄金期のおいしいどころ取りって感じなのです。
私は1ヶ月ほどまえにこのアルバムを購入しましたが、この曲はかなりの頻度で聴いてしまいます。
きっとリアルタイムであの熱い黄金期を過ごした方には物足りないかもしれないけど、例えば私のように明らかに後追いで、あの時代に憧れを抱いている人にはとてもオススメです、ホントに。
Rest of the Dream / John Hiatt
名前は知っていたけれど・・・っていうミュージシャンって意外と多いものです。
そして、そのミュージシャンの音源を実際に聞いたときには、ハッピーな気分かどんより気分のどちらかに落ち着くことが多いものです。
私にとって、このハイアット氏の音源は「ハッピー」に感じる部類でした。まさに今、私の中で求めている音って感じで。
この曲に感じられるような泥臭さと汗臭さ、これって私が元来好きなものなんです。でも、この辺りのテイストを求めてしまうと、どうしても70年代初頭のスワンプロックに落ち着くことが多いのですが、この人はそれを現代のフィールドの中で活かしているようです。
例えば、音のレンジだって90年代以降の音源だけあって広いし、ギターなんかもアレンジがきっちり練られてラフなプレーはほとんどない。
でも、泥臭いメロと歌いまわし、ギターのフレージング、ハモリなんかはとてもスワンピーなんです。こんな辺りが私のツボにはまりました。
暑い季節、こんな汗が滴るような音楽を聴きながら、自身のギターに汗をしみこませるのもオツなものです。